top of page
  • 執筆者の写真L'escargot Design

池ポス終了しました〜「そば処信濃」ポスター制作裏話



「第11回新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」関連イベント「池ポス展」、終了しました。当初から予定されていた池袋西口の創形美術学校の他、東武百貨店でも展示され、多くの方にご覧いただけました。足を運んでくださった方、そして気にかけてシェアなどしてくださった方もありがとうございました。 会期途中に創形美術学校ギャラリーの展示会場でパーティも開かれ、大盛況でした。 さて、展示が終了しましたので、改めて私たちのチームが制作したポスターをご紹介します。


普通のお仕事では制作過程は話せないものですが、こういうめったにない機会なので、たまには少し詳しく解説してみますね。。。 金子さんと二人で最初に信濃さんへうかがった時にまず、確かめたのは、2つに分かれている営業時間の昼の部と夜の部、どちらを打ち出したいかということでした。答えは夜。即答でした。夜はお酒を呑みながら食事をするという方が多いようです。ビール(またはそば焼酎)のついたセットもありました。

お店のロケーションや周囲の様子、それに外国人の方の来店エピソードから、その後の金子さんとの打ち合せで、「近くのホテルに宿泊している外国人観光客が夜、お酒とそばを楽しみに信濃さんに来てくれるようなポスターを提案しよう」とすんなりと相談がまとまりました。その場でコピーの内容や、イラストの構成要素、タッチなど、方針を一気に決めてしまいました。お店の場所がちゃんとわかるように、住所と簡単な地図も入れることに。


背景にある夜の西一番街のイメージは、その打ち合せのあとで思いついてお願いしたもので、これは訪日外国人向けの根拠でもあるロケーション、特異性をハッキリさせたかったのと、そもそもが池袋西口の街おこし企画であることからでした。金子さんからもその後、店名のところに「西池袋」と入れたらどうか、という提案があったり、二人で何度かキャッチボールをしながら、さらに最初のコンセプトを補強する形ですすめることができました。 金子さんは、料理イラストは雑誌などに全く別のタッチで描かれているようなのですが(それもとても良い感じなのですが)、今回はそちらではなく、少しテクスチャーの入ったタッチで描いていただくことに。おそばに合うという確信はあったのですが、期待通りの仕上がりで、おそばもだし巻き卵もなんともおいしそう。同時に「おそば屋さん」の渋さも出ていて、和風でもあり、モダンで洋風な感じもあり、まさにちょうどいい塩梅でした。 バックの色はイラストアップのあと、いくつか試して、紺色に。食べ物=暖色系、というのは良く言われることですが、今回は題材が「夜」「そば+酒」でしたし、酒瓶のグリーンやだし巻き卵の黄色を引き立たせるのにも濃いめ暗めのほうがしっくり来ました。洋風な要素を入れたいからと言って、イタリアンみたいにはしたくない、ということもありました。という訳で、一般的なセオリー通りではない配色になったのですが、2箇所に入っている(食品の時に良く使われる代表的な暖色の)赤が、実はかなり効いていると思います。イラストの色に関してはすっかりおまかせしてしまったのですが、さすがのバランスでした。 お店の宣伝が最重要課題でしたが、グループ展の形態をとることや、その後、長くお店に貼られるであろうことから、もうひとつ、アートポスターのように仕上げたいという目論見も密かにありました。昭和52年創業で、実際に昭和な懐かしさのある信濃さんのために、ヨーロッパのレトロな商業ポスターのようなテイストも取り入れたくて、工夫もしています。どうでしょう、雰囲気出たでしょうか。 コピーはほぼ全て英語。店名の日本語を大きく入れた理由は、まず第一に、このポスターを見て行きたいと思った時に、お店を認識できるように。例えば、日本語のガイドブックをたよりにソウルの街を歩いた時に、本にハングルの表記がなにもなかったら、お店はなかなか見つかりません。

第二の目的は漢字=“クール”という扱い。私たちが英語やフランス語をアクセントに入れる感覚です。おすすめの「そば湯割」と「だし巻き卵」も同様の理由から日本語で。また、この日本語は、日本人が見た時にも最低限の情報を提供できる実用的な面もあります。日本人なら、たとえ全てのコピーが理解できなくても、この日本語とイラストでちゃんと伝わりますし、細かいところはわからなくても逆に新鮮さが感じられるかも。

英語はイギリス人の友人に監修を頼み、改めて外国人観光客が見ても内容がわかりやすく通じるように補足などのアドバイスもしてもらいました。(Thanks, Andi!) 最後になりましたが、ターゲットを限定するちょっと思い切った設定でGOサインを出してくださった信濃さんに多大なる感謝を。デザインはまかせていただきましたが、決して丸投げではなく、夜のお客さんを増やしたいという明確なご希望や外国人客のエピソード、池袋西口エリアへの思い、ご自慢のそば湯のことなど、必要なことはすべて明快にお話いただきました。こういうお話は、方向性を決めるのにとても大切なことで、おかげさまで最後までぶれることなく制作を進めることができました。

これからますます増えるであろう外国人観光客。実行委員会が決めた組み合わせに寄る思わぬご縁でしたが、信濃さんのインバウンドビジネスの一助になればよいなあと思っています。

展示は終わりましたが、ポスターは信濃さんでご覧になれますので、ぜひ(できたら夜に)ご来店を! 冊子をお持ちの方は、12店舗12枚のポスターの中からお気に入りを見つけて、地図を頼りに訪れてみてくださいね。


「そば処信濃」のある西一番街は、昼でもちょっとした無国籍地帯ですが、夜になると、ひしめき合うたくさんの看板が光り出し、さらに別世界に。そんななか、親子二代で営む昔ながらのおそば屋さんは、とてもユニークな存在です。 二代目の息子さんにお話をうかがって印象的だったのが、観光客らしき外国人の来店もちらほらあり、日本人客との間で交流も生まれて、双方が楽しんでいる様子でした。調べたところ、周辺にはホテルも数多く、池袋は近郊の観光地へのアクセスも良いため、外国人に隠れた人気滞在地なのだとか。 そこでターゲットを外国人観光客に設定し、ヘルシーなSOBAと、同じく訪日外国人に人気のSAKEで「本物の日本の日常を楽しむ体験」提案として訴求することになりました。金子さんのイラストも、テーマにピッタリで、和と洋が絶妙にミックスされた世界を表現してくれました。SOBAに加え、信濃さんご自慢のそば湯割、そばつゆを使用しただし巻き卵、そして魅惑的な夜の西池袋が題材となっています。 (池ポス冊子より) イラスト:金子真理 デザイン:藤原ユカ(レスカルゴデザインオフィス) 英文コピー:Andi Brooks -----


そば処 信濃 東京都豊島区西池袋1-40-6 営業時間:昼11時30分~15時00分 夜18時00分~0時30分 定休日:日曜

☆信濃さん、金子真理さん、そして実行委員会の皆さん、ありがとうございました!

良いチームだったと思います。おかげさまで楽しく制作できました。

bottom of page